やっぱりここは楽しい!(2025年8月29日)
「記録的な暑さ」「危険な暑さ」──この夏、何度この言葉を耳にしたことでしょう。まだまだ厳しい暑さが続きそうですが、先生や友達に会える事を楽しみに登園してくる子供達の気持ちが新学期への原動力になるよう、2学期も、暑さ対策をとりながら、元気に過ごしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
「先生に会いたい!」──幼稚園がずっと心のなかに
8月中旬の夕方、7年前に卒園した姉弟とそのお母さんが幼稚園を訪ねて来られました。今年の春、お父さんの転勤により広島市内に引っ越しをし、連絡もしないままだったので、ちょうど三次に来た機会に会ってご挨拶をしたいという事でした。その姉の担任だった美穂先生は、ちょうど研修に出かけていて留守でした。次いつ三次に来られるか分からないという事だったので、思い切って美穂先生に連絡を取ってみました。すると「今、○○まで帰っているんですが、待っていてもらえますか?会いたいです!」と即答してくれました。
先生の帰りを待つ間、姉弟は懐かしい先生と思い出話をし、当時大好きだったアスレチックや滑り台で大はしゃぎ。「やっぱり幼稚園は楽しい!!」と笑顔いっぱいで遊んでいました。その様子を見守りながらお母さんが目を潤ませ話してくださいました。「卒園してからもいろいろな事がありましたが、何とかここまで成長させてもらいました。本当にここが、私達家族にとって原点になっているような気がします。子供達もずっと“行きたい!行きたい!”と言っていたんです。今日は急に来てしまってごめんなさい。」───
やがて、美穂先生が園庭に走って戻って来てくれました。「お~い!こんにちは~!!」と言って思わず抱き合っていました。久々の対面にみんな大喜びです。話したい事がたくさんあって会話は止まりません。当時の小さな出来事や気持ちの揺れも覚えていて、一生懸命話してくれました。お姉ちゃんは「私大きくなったらここで仕事した~い!」「だから、先生達もずっとこの幼稚園にいてよ!」と笑顔で言ってくれました。「美穂先生や他の先生達は大丈夫だけど、早く帰って来ないと園長先生は年をとって動けなくなってるかもしれないよ」と、私が冗談を言うと、「だめだめ!座っててもいいから居てよ!」と大笑い。それから、先生達との別れを惜しむように、何度も手を振りながら帰って行きました。
懐かしい写真
夏休み中、ひとりの大学生から「ボランティア実習に来たい」と連絡がありました。名前を聞くと、なんと卒園児!「ぜひ!来てください」と快く受け入れ、プレイルームで二日間の実習を行いました。初日に顔を見た瞬間、当時の面影がはっきりと残っていて、その成長ぶりに思わず感動しました。幼稚園の先生になるために頑張っている事も嬉しく思いました。子供達と過ごしながら、幼稚園の先生の仕事に触れ、大変さも楽しさも、そして、これから必要な学びについても自分なりに吸収していたようです。
そして、最終日、職員室に挨拶に来た彼女に、当時担任だった芽似先生が声をかけ、幼稚園時代の写真を探し出して見せていました。「え~っ!嬉しい!」と彼女は思わず涙をこぼし、懐かしさに浸りながらしばらく先生と写真を見て語り合っていました。当時も今も変わらず自分を応援してもらえている事を感じたでしょう。きっと、来年度の本実習に来てくれる彼女の最高の励ましになったに違いありません。
「またおいで。いつでもおいで」
幼稚園には、卒園児や転園した子供達が、ふとしたきっかけで訪ねて来てくれます。結婚、出産、就職など、人生の節目に顔を見せてくれる事もあります。時には、子供が成長して親元を離れた後、お父さんやお母さんだけで来てくださる事もあります。また、自分の子供を幼稚園に入園させてくれている子もたくさんいます。
先生達は、この幼稚園を離れていく子供達やご家族に「またいつでもおいでね。遊びに来てね」と言って送り出します。それは、社交辞令ではなく、純粋な思いです。これから会えなくなるあなたの為に私達ができる事、それは、あなたが会いたいと望んでくれる時に顔を見て話ができる……それで、喜んだり元気をもらったり、しあわせな気持ちになってくれれば私達幼稚園の存在の意味が続いていくと思うからです。在園している間だけではなく、私達は、その後もずっと子供達とそのご家族の幸せを気にかけていたいと思っています。
私達は、子供達が将来、素敵な大人へ成長していくための力を育んでいます。幼稚園にいる間にその結果が出るわけではありません。どんな大人になっていくのかを見たいし知りたいのです。だからこそ「またおいで」と言って送り出すのです。
研修会での再会
7月の終わり、先生数名で二日間の研修会に参加しました。大きな研修会だったので、参加者名簿が記載された冊子が配られました。最終日に、ひとりの若い先生が「すみません、三次中央幼稚園の先生ですよね?私、卒園児なんです!名簿にお名前があったので、昨日からずっと探していました。」と、駆け寄って来てくれました。彼女を知る先生達は驚き、会えた事に感動していました。
聞けば、今年が1年目で仕事に慣れるために奮闘しているとの事。別れ際に「いい先生になってね!また幼稚園においで」と声をかけると「はい!私、頑張ります!会えて良かったです!」──その力強い言葉に頼もしさを感じました。
2025年9月2日 5:10 PM | カテゴリー:葉子えんちょうせんせいの部屋 | 投稿者名:えんちょう先生