知らない事に出会った時こそ!──(無知の知)(2025年6月30日)
バラって…アジサイって知らなかった
昨年の秋、我が家に新しく小さな庭を設けました。あまり手のかからない数本の高木と花を業者さんに植え込んでいただきました。少しずつ根付く様子を見て毎日楽しんでいます。5月の連休頃、いろいろな花につぼみがついているのを見つけ、ますます嬉しくなっていました。そんなある日、私と主人で移植したナンテンの木の下に、バラの木の芽が出ていたのに気付きました。以前植えられていた近くにバラの木があったので、きっと土と一緒に運ばれて来たのだろうと思うと、健気で愛おしくて、これからの成長を見守って大切に育てようと思っていました。嬉しかったので、主人に「ナンテンの木の下にバラの芽が出てるよ。大きくなるのが楽しみ!」と話しました。それから、毎日、バラは元気かな?と見ていました。そんなある日!なんと!そのバラがなくなっていたのです。エッ!なんで?昨日まであったのに!と、不思議に思って主人に言うと、「ん?さっき草とりしたよ。」と言うのです。「草?…草なんてあったっけ?」と私が言うと、「ん?もしかして、俺が抜いた草はバラだったん?」ガーン!!!「バラがある事,言ったじゃーん」あんなに成長を楽しみにしていたのに…と思い、正直カッチーンと来ました。「ごめんごめん、他の草と一緒にゴミ箱に捨てた。あれがバラだなんて思わなかったから……。」と言うので、直ぐにゴミ箱の中を探しました。少ししおれたバラにしばらく水を吸わせ、涼しくなってから再び元の場所に植えてやりました。主人はあれから責任を感じたようで毎日こっそりとバラの様子を見ているようです。ちょっと私も大人気なかったかな?と反省。
そして、先日の夕食中、主人が、「庭に水色の花が咲いたね。丸い花。東側には白い花も咲いてたよ。」と話し始めました。「ん?アジサイの事?」と聞き返すと、「あぁ、あれがアジサイかぁ~」と言うのです。以前の庭には、大きな大きなアジサイの木が家の周りに何本も植えられていて、この時期になると、見事な花を咲かせて楽しませてくれていました。「え~っ!!アジサイ……って知らなかったの?玄関前のも東側のも同じア・ジ・サ・イ!!」と言うと、「そんなの思った事もなかった。以前の庭にはいつの間にか花が咲いていて、それが当たり前すぎて興味が向かなかった…」と…。「私もそんなに花の名前をたくさん知っているわけではないけど、アジサイくらいわかるじゃ~ん」と追い打ちをかけてしまいました。今、時季的にアジサイの話題がテレビや新聞で報道されています。それを見て、「あぁ~、なるほど、家のはまだ小さいけれど、あれと一緒だ。あれとこれが一緒って今ならわかる!」と言うのです。
どうやら、主人の生活の中においては、花や植物のウエイトが低いようです。
工具の名前なんて知らない
「おーい!ちょっと、工具箱の中から、モンキーレンチ持って来て!」と主人の声、DIYの作業中、手が離せないからと私に頼んだのです。「ん?モンキーレンチ?モンキー?…これっぽい」──たくさんの工具の中から、いちかばちか主人の元へ届けました。「これ?」主人は情けなさそうに苦笑い「これ違う」「レンチ…わからないかぁ~」と結局自分で取りに来る。主人は器用で、自分で手掛けて物を修理したり作ったりするのが好きで、それに必要な工具や機械をたくさん揃えています。そんな中から、私が言われてすぐにわかる物はそんなにありません。実際にあまり使う事がなく、関心もないからです。
私にとって、私の生活においては、工具のウエイトは低いのです。
人は皆、育った場所や働く社会や環境の違う世界でそれぞれに知恵や感性を生かしながら生活しています。価値観、興味、必要度の違い等で、知っている事、知らない事、みんなあるでしょう。しかし、自分が知らなかった事を知れた時、「知らなかったから仕方ない」ではなく、そこから興味を持ってみる事が、知識を広げるチャンスになります。こんなおもしろいものが…便利な物が…あるいは美しい物があったのだと関心を持てば、視野が広がり、自分の生きる世界が少し拡大されるような気がします。
子供達の中にも、虫や魚の事なら何でも知っていて、たくさん教えてくれる子がいます。興味があるから、どんどん自分で調べたり、お父さんやお母さんに話を聴いたり尋ねたりして、知識をどんどん深めていきます。幼稚園の園庭でもいろいろな物を捕まえてはその生態を説明してくれるのです。でも、歌やダンスはそんなに好きではなく、目の輝きも少し違います。好きな事、苦手な事、みんなそれぞれあるでしょう。得意とする事がなにかあれば、それが自信となり自己肯定感にもつながるので、しっかり伸ばしてあげたらいいと思います。しかし、人が社会に順応して生きて行くためには、知らない事や興味のない事をそのままにせず、基礎知識をバランス良く得ておくことは必要な気がします。それは、あれもこれも学ばせるという事ではなく、いろいろな事に関心や興味を持てる子、好奇心を持って心を動かせる子に育てる事だと思うのです。心ときめく刺激的な生活、あそびのある環境の中にいる事こそが、子供達のバランスのとれた学びの基礎を培うのではないかと思います。「なるほど」「楽しい!」「おもしろい」「きれい!」「かわいい!」「すご~い!」と思える事にたくさん出会える生活が子供達には必要なのです。
この年になっても知らない事がいっぱい!───まだ間に合いますかね? きっと、間に合いますよね。
2025年7月8日 6:05 PM | カテゴリー:葉子えんちょうせんせいの部屋 | 投稿者名:えんちょう先生